検査対象疾患
Inspection Target

SMA:脊髄性筋萎縮症

脊髄性筋萎縮症は SMN 蛋白を十分に産生することができないため脊髄の前角細胞(運動神経)が変性し、進行性の筋力低下、筋萎縮を引き起こす疾患です。 重症型の場合、乳児期に運動発達がとまり、哺乳や食べ物の飲み込み、呼吸ができなくなるなどの症状を引き起こすことがあります。

● 主な症状

弱い泣き声、哺乳困難、呼吸困難、嚥下困難
四肢や体幹の筋力低下、成長の遅れ

● 具体的な症状

・全身に筋力低下がみられ、首がすわらない、お座りができないなど、運動発達に遅れがみられることがあります。
・呼吸するときに必要な筋肉が弱いため、咳の力が弱い、呼吸が浅く弱いことがあります。
・母乳やミルクを飲めない、誤嚥を起こしやすいなどの嚥下障害がみられることがあります。

SCID:重症複合免疫不全症

重症複合免疫不全症は生まれつきの免疫系の異常により、血液中の免疫にかかわる細胞 てであるTリンパ球がほとんど存在せず、病原体に対する抗体を作るBリンパ球も機能しなくなることで、病原体から体を守ることができず感染症を繰り返す病気です。

● 主な症状

肺炎、下痢、口腔内カンジダ、中耳炎、敗血症
生ワクチン(ロタウイルスワクチン、BCGワクチン)に対する重篤な副作用

● 具体的な症状

・乳児期早期に、肺炎、敗血症、胃腸炎どの重篤な感染症を繰り返すことがあります。
・慢性の下痢・吸収障害のために、体重の増えが悪くなることがあります。
・重篤な肺炎や敗血症で発症し、診断が遅れて適切な治療が受けられないまま亡くなられてしまうことがあります。
・重症複合免疫不全症の赤ちゃんに、生ワクチン(ロタウイルスワクチン、B C Gワクチンなど)を接種してしまうと、命にかかわる重篤な副反応を引き起こす可能性があります。

ポンペ病

ライソゾームの中の酸性αグルコシダーゼという酵素の働きが低くなってい ることで、グリコーゲンという物質が分解されにくくなり、全身のいろいろな臓器の細胞に蓄積して様々な症状を引き起こします。

● 主な症状

頭痛、心機能障害 呼吸困難 呼吸器感染症 誤嚥性肺炎
筋力低下、腰痛、成長発達の遅れ

● 具体的な症状

・体を支える筋肉の力が弱くなるため、寝返り、お座り、はいはい、歩行などの運動機能の発達に遅れがみられます。
・呼吸するときに必要な筋力の低下から、呼吸しにくくなることがあります。眠っている間に時々呼吸が止まってしまうため(睡眠時無呼吸症候群)、起床時に頭痛があることがあります。
・心臓が大きくなって、不整脈や心不全などの障害を起こすことがあります。
・食べ物を飲み込むときに必要な筋肉が弱く食べ物が気管に入って肺炎を起こすことがあります。

ファブリー病

ライソゾーム中のαガラクトシダーゼいう酵素の働きが低くなっていることで、グロボトリアオシルセラミドという物質が分解されず、全身のいろいろな臓器の細胞に蓄積して、さまざまな症状を引き起こします。

● 主な症状

脳血管障害、聴覚低下、心機能障害、腎機能障害、消化器症状
汗をかきにくい、皮膚の赤い発疹、手足の痛みは特徴的な所見となります。

● 具体的な症状

・手足の先に痛みやしびれを感じます。気温の変化や運動によって引き起こされることがあり、暑い夏やお風呂、運動が苦手だったりします。
・時々、発作的に激しい痛みが出ることかもあります。汗をかきにくくなるため、体温の調節が難しく、発熱しやすくなります。
・腹痛や下痢などの消化器症状が出やすくなります。
・腹部やお尻、陰部、大腿などに小さな赤い発疹が出ます。痛みや痒みはありません。

ゴーシェ病

細胞のライソゾームの中のグルコセレブロシダ−ゼという酵素が低くなっていることで、グルコセレブロシドという物質が分解されにくくなり、肝臓や脾臓、骨髄などにグルコセレブロシドが蓄積して、様々な症状を引き起こします。

● 主な症状

けいれん、斜視、開口障害、肝臓脾臓が大きくなる、骨の痛みや変形、骨折、出血しやすい、血が止まりにくい、貧血、成長の遅れ

● 具体的な症状

・肝臓や脾臓が腫れて見た目にもわかる程度に腹部が大きくなります。
・貧血により疲れやすさがみられる
・血小板数が低下し出血しやすくなります。
・骨が弱く、変形しやすくなり場合によっては骨痛や骨折を引き起こします。
・病気のタイプによっては神経症状(痙攣など)を伴うことがあります。

ムコ多糖症1型

ライソゾームの中のα-L-イズロニダ−ゼという酵素の働きが低くなっていることで、グリコサミノグリカンという物質が分解されにくくなり、全身の骨や筋肉、内臓などの組織にグリコサミノグリカンが蓄積して、角膜混濁や特徴的顔貌などさまざまな症状を引き起こします。

● 主な症状

特徴的な顔貌、低身長、臍ヘルニア、鼠径ヘルニア、繰り返す中耳炎、角膜混濁、緑内障、蒙古斑、肝臓脾臓が大きくなる、骨関節の変形

● 具体的な症状

・体全体に蒙古斑がみられる場合があります。
・頭が大きい、首が短い、舌が大きい、唇が厚いなど、特徴的な顔貌がみられます。
・角膜混濁による視力低下や難聴、中耳炎を繰り返すようになります。
・肝臓、脾臓がおおきくなるためお腹がぽっこりします。
・心臓の弁膜症や臍ヘルニア、鼠径ヘルニアになりやすくなります。

ムコ多糖症Ⅱ型

ライソゾームの中のイズロン酸-2-スルファターゼという酵素の働き かが低くなっていることで、グリコサミノグリカンという物質が分解されにくくなり、全身の骨や筋肉、内臓などの組織にグリコサミノグリカンが蓄積して、関節症状や骨変形 などさまざまな症状を引き起こします。

● 主な症状

急激な成長、発語の遅れ、臍ヘルニア、鼠径ヘルニア、繰り返す中耳炎、蒙古斑
肝臓、脾臓が大きくなる、骨、関節の変形

● 具体的な症状

・からだ全体に広がる蒙古斑がみられます。
・幼児期に急激に成長し、大きな鼻や厚い唇、大きな舌、歯肉の腫脹、耳たぶが硬く厚いなどの特徴があります。
・肝臓や脾臓が大きくなり、腹部がぽっこりします。
・心臓の弁膜症や臍ヘルニア、鼠径ヘルニアにかかりやすくなります。